今回は『からだにおいしい発酵生活』という本をご紹介します。
発酵食品で人生が変わるかどうかはわかりませんが、発酵を手中に収めている人は確固たる信念をお持ちの気がするのです。
手軽に作れるレシピがいっぱいのこのご本は、菌活の第一歩にちょうどいいのではないかと思います。
『からだにおいしい発酵生活』栗生隆子 宝島社
著者が発酵に出会うまで
著者の栗生氏は過敏性腸症候群という病気にて処方された抗生物質により、腸のバランスがますます崩れたという。
少しの外出もままならなかったとのことで、相当なご苦労があったのだと思う。
さまざまな民間療法も試すが快方に向かわず、ある日出会った甘酒に「『なにかいい』という直感を得」たのだそうだ。
そのパッケージにある「糀」という文字に惹かれ、まずは無添加の調味料を使ってみたとのこと。
実感を伴って体調がよくなってきたという。
菌と仲良くなる
「発酵食は発酵の段階で菌が栄養素を分解し、新たな栄養素を作り出しています。」p33
胃や腸で懸命に分解せざるを得ない食料が、発酵食の場合摂取前から一部分解されていて、新たな付加価値もついている。
たとえ「菌が腸まで届」かなくても、胃腸への負担が減るため、胃もたれなども軽減されるのだという。
著者にとってその軽減こそが「発酵食の良さ」だとおっしゃる。
腸の調子が良くなり、身体を温めて血流を活発にすることで健康へと近づく。
「体も自然界そのもので、体の中に川があり、大地があるのだな」 p36
ご自身の血や氣の流れに敏感になり、体調の回復を実感したからこそ得られた境地ではないだろうか。
「私たちは(中略)自然の中から生まれた存在」なのだから、自然の力である菌の力に共鳴するのは当たり前だと説く。
発酵を深く自分のものにされているからこその言葉なのだろうな。
菌と共に生きる
「病気のおかげで発酵生活と出会うことができましたが、だからといって「病気になってよかった」というのはありません。」 p49
この一文にハッとする。健康で突っ走っている人間が安易に口にしそうな慰めへの戒めだととらえる。
著者は大病に窮して糀と邂逅したが、病気をしないほうがいいにきまっているわけである。
いろんな状況の人々が支えあって平和な毎日を作る。
この世も突出する誰かだけではバランスが崩れる、腸内の菌の役割と同じなのだと。
実際に発酵させてみる
前半は栗生氏がなぜ発酵生活への道へと進んだのかという話だった。
ただのレシピ本ではないのだ。それがこの本のいいところだ。
読者にとって発酵に対する心構えが幾段も上がる。
崇高な気持ちを持って、私も本格的な発酵生活に突入した。
ちなみに菌との生活は待ったなしのところがある、ということも学んだ。
この本のレシピを見ながら作ったもの。
- たまねぎ酵母 玉ねぎのみじん切りを瓶に保存。4~5日で発酵し料理に使える。
簡単。仕事終わりでもハンバーグが作りやすい。
旨み深みは正直わからない。ご腸内さんは喜んでいると察する。
ネ〇カフェの大瓶に入れたら取り出しにくい、スプーンのこすれる音が苦手。
(別容器に移すべし) - トマト酵母 トマトをザク切りにして瓶に保存。冷蔵庫で3~4日
簡単。仕事終わりでもハンバーグトマトソース掛けが作りやすい。
夏のトマトの盛りに何度も作れる。 - トマト糀 ざく切りトマトに糀を混ぜて1日常温放置。
簡単。仕事終わりでもミートパスタが作りやすい。
トマトの甘みが更に引き出される。
貧乏性で半分残し冷蔵庫保管のまま忘却すると、こわい状態になるので注意されたし。
使い切って次のを仕込むのが賢い菌活だと思われる。 - 発酵ジャム いちご(など)に少量の砂糖かはちみつをまぶし、常温放置。
気泡が出てきたら冷蔵庫保管。
超簡単。ジャムは煮るもの、加熱するものだと思い込んでいたが、
このジャムは手軽で甘くなく、爽やか。
いちごサワーみたいな素敵なデザートになった。 - 豆乳ヨーグルト 種菌 丹波篠山産米を水に浸し常温放置。翌日ブレンダーにかけ滑らかに撹拌する。
冷蔵庫保管1日で種菌完成。
めんどくささはあり。この種菌で何度もヨーグルトが作れるので月に一度の作業はいとわない。種菌の完成
- 豆乳ヨーグルト 種菌と無調整豆乳を混ぜて、常温放置。固まったら冷蔵庫保管。
簡単。発酵具合を目視できるのが面白い。通常のヨーグルトより酸味が強くなく胃腸が弱めの人にも受け入れやすいかと。
これも大事に置きすぎると、素敵なピンク色に移り変わるので注意されたし。
味は豆腐感がつよい。豆乳ヨーグルト完成形
- 水キムチ 失敗。なんどか試すが失敗。米のとぎ汁に調味料をいれて作るのだが、どこが完成かわからなかった。そもそも水キムチを食べたことがなかった。
発酵の真打、ミキ(お神酒のミキ)や甘酒のレシピも載っているが未チャレンジ。
著者の発酵生活の本気度を知ったうえで楽しむ手軽な菌活は面白くて美味しいのだ。
栗生隆子さんのFacebookはこちらからどうぞ→豆乳ヨーグルト研究会

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