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【2021/9/16発売】『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』を読んでみた。

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2 本が読みたくなる
新潮社さんのHPから書影をお借りしました。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』が2021年夏に文庫化されて、広く広くブレイディみかこ氏の考察が広まっているところだと思います。
その2が発売されました。一足先に読ませていただきましたので、ネタバレしないように気を付けながらご紹介したいと思います。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』ブレイディみかこ 新潮社

(2021年9月16日発売)

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』はどんな本だったか

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(以下『ブルー1』)で、冷静に状況を見渡すみかこ氏、ピュアで核心を突く疑問と意見を放つイエローでホワイトな息子、
そして凡庸な意見を持つ(すみません)イギリス人のだんな様が登場した。

この家族はイギリスの中流階級の土地に住んでいるようだ。
息子が中学校に上がるにあたり、平均以上の中学校に行く手もあったが地元の公立中学を選択した。選んだのは息子自身。
この息子さんは多彩な背景を持つ同級生たちと相対することとなる。
貧富の格差、土地の慣習、親の来歴、LGBTの問題。
息子本人がイエローでホワイトな立ち位置を揶揄されることもあれば、友人がその立場になる場合もある。

息子は学校で起こったことを純日本人である母、みかこ氏に話し質問する。
「どうして僕が、彼らが、そう言われるのか。非難する側の人たちはどんな思考でそう発言・行動するのか」と。

本当に中1なのかと読者は驚きをかくせない。
そしてみかこ氏も広い見地で息子と意見を交わす。決して怒るでもなく諭すでもない。

感情を脇において
「なぜそう言われるのか」
「なぜそう言いたくなるのか」
「自分はどう思ったのか」
「自分がその立場だったらどう発言しただろうか」
「どうするのが最適だろうか」
ということを毎日議論するみかこ氏と息子は、世界の片隅でありながら全世界共通の課題を背負っているようだ。

どの国の誰であろうか、違いを認めて分かち合う社会が実現できるのかは疑問だ。
その上で私たちはは友好的に生きていきたいはずである。
読むにつれて後回しにしがちな他者との共存について考えざるを得ない。

そんなこともある。そんな人もいる。悪気があったわけではない…

めんどくさい問題を置き去りにしているのが現実だろう。
いろんな人種と交わる土地でのできごとをみかこ氏の中立な視座と筆致が訴えかける。
日本に住むあなたにも些細な引っ掛かりを元に、大事な誰かと話し合うべきなのではないかと。

 

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』、少年はまた大人びた。

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2

『ブルー1』で、みかこ氏と息子は夏休みに彼女の実家福岡に帰省する章があった。

そこで日本語を解さない少年は地元の遠慮のない視線や下世話な質問に傷つくものの
みかこ氏の実父とはなぜか馬が合い、お互い言語での会話が成立しないにも関わらず、
強く結びついている話だった。

今回の『ブルー2』でも二人が帰省する場面がある。

息子とは英語で父親とは日本語で会話するこの家族に対し、探り探り質問する旅館の若旦那が登場する。
仕事柄お客様の気分を害することなく、しかし言葉の端々でどんな関係性なのか興味を持っていることに
著者は気が付いている。
みかこ氏も息子も移民国家である英国で鍛えられているため、他人の言動の裏を敏感に察知するようなのだ。

そこに鷹揚に構えた九州男児の実父がなんてことはない返事をして場を和ませる。
「娘の家族は日本のほかの家族となんら変わりない」という潜在意識がそうさせるのだろうが、
このお父さんはそんなつもりもなくただ家族を愛しているだけなのだろう。

そして「おじいさんと孫」のやりとりは今回さらに必読なのだ。

日本の市井の人々の発言が取り上げられるこの章は特にその言葉のニュアンスがわかるところだ。
座り心地が悪いようなそんな気分になる。

 

『ブルー2』の冒頭で「よく考えることって大事なんだね」
「誰かのことをよく考えるっていうのは、その人をリスペクトしてるってことだもんね」
と息子が発言する。13歳の少年は世の中で善とされていることも本質を考えてみることを習慣づけている。

みかこ氏が住む中産階級の街にも財政改革の波が押し寄せ、図書館が閉鎖されホームレスの人々の施設になるという話が出る。
日本でいうところの住民説明会での役所と地域住民の対決は反対意見の大絶叫に終わる。
これはイギリスのとある街の話ではあるが、日本と何ら変わりがない。
それを自分の周辺に置き換えて考えられるかどうか、という課題が形を変えて再び登場するのが今回の『ブルー2』である。

 

「よく考える」という主題はイギリスのクリスマスシーズンのヘビーローテーションソングに波及する。
英語を解さない私がYouTubeで聴いたところ、だみ声のおっさんとパワーボイスのお姉さんの掛け合いがロマンチックですらなかったのだが
英国では郷愁すら感じる大切な歌なのだそうだ。
だが夫婦漫才的な愛のこもった罵りのセリフがこの「多様性を重んじる」時代にそぐわないのではないかと賛否が分かれているとのことだ。
それをどう解釈するのか、この時代にも流れていい曲なのか。

どこをどう切り取っても、さてあなたの住む地域、職場、果ては日本国内でどんな議論をしていますか、
まず自分の身近な人々とよくディベートしていますか、とまたもや問いかけられているのである。

 

今回、息子さんは更に冷静に社会を眺めていて、そして少しずつ大人になっている。
それを母ちゃんつまり、みかこ氏と共に頼もしく寂しく見守る、そんな本になってもいる。

 

装丁がまた素敵だ。風に吹かれる息子。
『ブルー1』の時も感じたが『ブルー2』を読了しても思う。
少年のその続きが読みたいと。

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