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【本を売るひと その5】「客注」で大事なことは2つ!! 検索スピードと接客。

客注対応でたいせつなこと 本を売るひと

発注はお店の要。店舗の棚充実のための発注、大々的に仕掛けて大いに売ろうとする発注など、経営の根幹にかかわる大事な仕事です。

ただ新人書店員さんが売り場に出てまず出くわす発注は、「客注(お客様注文分)」です。

ここをしっかり覚えると、書籍流通の一端が見えてきます。そしてお客様の信頼も頂くことができます。プライスレス✨

客注 お客様注文分 の発注

 

客注で重要なこと

 

客注は下記のような手順が一般的です。

  1. お客様が探されている本が、あなたのお店の棚にはなかった。
  2. ご期待に添えなかったことをお詫びする。
  3. お客様に何日間かお待ちいただけることを確認する(←ここ、顧客満足度の観点で重要です)
  4. 発注する。

ただ注文すりゃぁいいってわけではありません。

店頭で(または電話口で)お客様にお待ち頂きながら在庫を検索しているという状況。ドローンで上から観察してみてください。

あなたは本のありかを捜索する仕事と接客をふたつ受け持っている状態です。緊張しないわけがありません。

大切なことは

1.できるだけ迅速に在庫の有無を確認
2.注文から入荷までの時間の丁寧かつコンパクトな説明

この二つにつきます。

1の在庫の有無は、脳内の書籍検索地図ができあがっているほど最速で答えにたどり着きます。

2は接客対応の領域、あなたの言葉一つでお客様の気分が一変します。

どうすればお客様に快くお待ち頂けるか、見ていきましょう。

 

グループ内の在庫を検索

 

あなたがチェーンの本屋さんにお勤めなら、まずチェーン内の在庫を調べましょう。検索方法は各社いろいろですから、割愛します。

ここを最初に検索するのは、店着日が早いからです。一週間以内、もしくは2~3日で到着するように各社しのぎを削っているかと思います。

人気の書籍は取り合いになっているでしょう。同じグループ内でも早い者勝ちです。または発売日が古くチェーン内では在庫がない…となると、すぐに次の手段にとりかかります。

 

出版社に注文  その1 ~ 電話注文

 

スタンダードに出版社に電話を掛ける方法。電話機の近くに御店が使う取次発行の「取次出版社名簿」はありませんか? そこで出版社を調べて電話を掛けます。

 

(出版社の電話番号とFAX番号が網羅されたこの電話帳、トーハンも日販も廃止の方向。こりゃ困ったなと思っているところです。廃止後起こりうるであろう面倒なアレコレ、出版社勤務という高島氏のnoteにとても詳しく明晰に書かれていますので、ご参照ください↓)

 

~書店業界の符号が飛び交う電話注文~

1.名乗る。

書店名(支店名)と自分の名前を名乗る。

 

2.お客様注文分であることを告げる。

お客様の目の前で電話する場合は決して「客注です~」などと言わないように。

「お客様ご注文分です」などというのです。

 

3.書名とISBN、何冊必要か。を告げる。

電話の相手は受注のプロなので、ややこしい書名でも素早く在庫の有無を調べてくれます。

 

4.在庫がある場合→発注 

版元側「番線コードをお願いします」

書店側「(あなたの書店の番線と書店コード)」

版元側「〇月〇日搬入です」

版元側「短冊に記載することはありますか?」と問われることもあります。

短冊は七夕の短冊を思い出せばOKです。この本は客注であるという情報が短冊に記載され、入荷時に本に挟まれてきます。必要ならば(できるだけ書いてもらったほうがいい)、伝票番号やお客様のお名前などを告げます。

 

これで注文完了です。

「搬入日」はあなたのお店に到着する日ではありません。取次の倉庫に入荷する日です。

お客様にはそこから見積もって1週間(ちょっと長い)後くらいをお伝えするのがベストかと。

この辺りのさじ加減は現場の先輩の会話を盗み聞くのが一番だと思います。お客様にはお待ちいただくのですから、できるだけ角が立たないように慎重に発言してください。

(書店発注はこれくらい待ってもらうのは当たり前なんすよ~、という心の声がにじむとクレームです)

 

 

5.在庫がない場合 の想定問答

 

   5-1.版元側「〇月〇日重版予定です」  

書店側「搬入日はいつ頃ですか」と問い、そこから店着日を類推する。

私はここで電話を保留にして、お待ち頂いているお客様に

「新たに刷り上がってこの店に到着するのが〇月〇日ごろになりそうです。お待ちいただけますでしょうか」と許可を得ます。

通常よりお待ち頂くことになるので、お客様の承諾なしに発注するのは危険です。

ここでお客様の了承を得たら、版元側に注文します。

 

   5-2.版元側「返品待ち保留です」  

これはなかなか望み薄な状況です。よその書店から版元側に運よく返品されたら、御店に送りますよ。という星に願いをかけている確率です。

お客様に版元側の回答をそのままそっくり報告するのはちょっと危険。

「出版社さんにも現在在庫がない状況で、出版社さん側にこのご本が戻ってきて状態が良ければこちらに送ってもらえます。お時間を長く頂戴することになりますが、ご注文致しましょうか」

私はバカ丁寧ですがこれくらいのトークをします。

お客様が「待つので注文しといて」とおっしゃったなら、版元側に返品待ち保留のお願いをします。きっと1か月くらいの期限付きとなると思います。

版元側も保留案件を永遠に抱えられないからでしょう。

期限の時期がきても商品が到着しない場合は、版元に再度確認の後、お客様にお詫びの電話を入れなければなりません。

遭遇しがちなのは”分冊百科”とよばれるデア〇スティーニやア〇ェットなどが展開している週刊/隔週刊の雑誌の注文の場合です。大々的にCMを打ち出すわりに巻数が増してくるとどんどん入荷部数が減っていきます…。 定期購読頂いている冊数だけを雑誌担当者がなんとか確保しているのが現状です。
書店側も大量の分冊百科を並べる棚はないわけで、お互い様ではあるのです。でもお客さまも「寺社仏閣は好きだけど全部揃えたいわけじゃない」とか「TOYOTAのこの車種でこの年式のミニカーが欲しいんや」とか趣味趣向はいろいろ。全号コンプリートしたいわけではないのはわかります。この部類の客注は緊張します。

 

 

   5-3.版元側「在庫なし、重版未定です」 

 

版元側からこう言われたら、すっぱり受話器は置きましょう。

チェーンの在庫も1冊もないようなら、お客様に丁寧に報告します。

「出版社さんも在庫がなくて、新しく刷り直す予定もないそうなのです」

そこで怒り出す方はほとんどお見かけしません。丁重にお詫びしてくださいませ。

 

出版社に注文 その2~ オンライン注文

 

~ネットで楽々です。ポチっとするだけなので、ネットショッピングとなんら変わりません~

書店専用のサイトなので、あなたのお店での登録が必要になります。

入荷までの日数は電話注文と変わらないと考えてよいでしょう。

 

s-book (小学館、集英社など40社以上の出版社の商品を発注できる)

 

ブックインタラクティブ  (新潮社、文藝春秋など70社以上の出版社の商品を発注できる)

 

WEB ホットライン   (KADOKAWA の発注専用サイト)

 

WEBまるこ  (講談社の発注専用サイト)

 

etc…

 

s-bookとブックインタラクティブは、取り扱い版元の棲み分けがありますが在庫確認も目視でできて、非常に便利です。

ただ発注したものがちゃんと搬入されるか、日に一度は確認するほうが安心です。

こうやって全てがネットに移行していくのですね。

 

客注品の入荷時に気を付けること

 

搬入ルートが一般補充の書籍との混載であることが多いので、毎朝の検品時に短冊確認を怠らないよう。雑誌のバックナンバーは明らかに疑ってください。

客注商品を知らずに棚に並べてしまうというのが最悪パターンです。ゾッとします。

 

まとめ

 

お客様からの立場からすると、ネット宅配に比べて書店注文は格段に面倒です。

わざわざ出かけたのに書店に在庫は無い。注文して10日前後待った挙句、またあなたのお店に出向かなきゃならない。それでも書店での注文を選択してくださったお客様に丁寧に対応するのは当然のことです。

客注対応は頭を使います。お客様は早く必要なのか。時間がかかっても美本が欲しいのか。

一刻も早く欲しいという方には、自店舗での売り上げにこだわらず、仲間の店舗に在庫があればそこで取り置きを頼んだり、代引き対応したりと、方法はさまざまあります。

そもそも書店での取り扱いがない本(婦人雑誌の「ハルメク」など)も尋ねられます。その答えに至るまでにあなたはGoogleを駆使して調べたことと思います。

その情報をそのままお渡しするのです。取り扱っている会社のHPや電話番号などをメモしてお渡しすることもあるでしょう。(本のボランティアかい)と思うかもしれませんが、それはそれでいいのです。そのお客様はあなたのことを好印象に思ってくださるでしょう。

あなたのお店で購入したり、注文してくれること。非常にありがたいことなのです。

それを肝に銘じて売り場に立たなければならない。それは書店員というより小売業の人間としての役割だと思います。

最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。お互いに知識を補充して書店に向かいましょう!!

 

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