文芸 小説

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本が読みたくなる

歌集『砂丘律』千種創一氏。幻想のように真実を歌う410種。

できればなんの注釈もなくこの本を手に取って欲しい。そして静かに読んで欲しい。夢の断片のような、かすめていった思考のような。美しくて儚い31文字の連なりを堪能して欲しいのです。
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『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈氏。成瀬のかっこよさを全力で伝えます!

滋賀を舞台に成瀬がぶっちぎる。自分に忠実に。 10代をこんな勢いで走り抜けたかった。あなたもきっと成瀬に惚れる。
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川上未映子氏『黄色い家』。本の重みは花の濃密な人生そのもの。

読売新聞朝刊で連載されていた川上未映子さん『黄色い家』。2023年2月20日、中央公論新社より単行本が発売となりました。ずっしりと重みのある本です。本屋さんで手に取って確かめてみてください。 この記事では冒頭部分のあらすじをサラッとご紹介しています。
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『生のみ生のままで』綿矢りさ氏。まっすぐな想いを受け止めた先を見てみたい。

逢衣と彩夏。このふたりの女性が、雷に打たれたような恋を始める。許すとか認めるとかそんな陳腐な言葉は必要なのかな。こんなに彼女たちはまっすぐなのに。人は日々、何かを演じているけれど、それを脱ぎ去った”生のまま”の自分を受け止めてくれる存在の大きさを知る小説です。
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『女が死ぬ』松田青子氏。直接攻撃しないクレバーな短編集。

強烈なインパクトを持つタイトル『女が死ぬ』。松田青子さんの描く「女に対する定義の理不尽さ」にいちいち「わかる~」と声が出ます。凝縮された53本の短編たちから繰り出される、抑圧をはねのけるパワー。共感するだけでなく、そこから自分は何ができるかを考えたくなる。それでいて読み物としても面白いのです。
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『まっとうな人生』絲山秋子氏。大人になっても戸惑ってる。

2022年5月19日、絲山秋子さんの新刊が出ました。『まっとうな人生』。これは2005年に出版された『逃亡くそたわけ』という青春ロードムービーのの後日談といえます。ふたりがどんな大人になったのか、年を重ねたのは、読者だってそうです。酸いも甘いも噛みしめた大人が味わう物語です。
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掃除婦のための手引き書 ールシア・ベルリン作品集 繊細で残酷な”わたし”のお話。

ルシア・ベルリンは1936年生まれ、昭和11年にあたります。父の転勤で子どもの頃は南米中米などで暮らしていたアメリカ人だそうです。表紙の女性がルシア氏。多感な時期に人間の裏表を全て見てきたのではないか、と思わせる短編集です。小説だけれど彼女の平たんでない生きざまを垣間見るような、ざわめきがあります。
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『春のこわいもの』川上未映子氏。暖かな日差しとゾクッとする冷気と。

パンデミックが始まろうとする春のこと、覚えていますか。当たり前のことがことごとくできなくなる戸惑い。世界が変質していくような毎日でした。今に続く混乱の中でこそ生まれてきた小説が『春のこわいもの』です。「本当の世界って、どっち」なのかな?と語り手がつぶやきます。ここではない場所に引き込まれるような感覚を味わって下さい。
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『砂嵐に星屑』一穂ミチ氏。自分だけの星を見つけること。

一穂ミチさんには深〜い固定ファンがついているのは何故かしら?とこのお話を読んでみました。大阪の民放テレビ局で働く人たちのオムニバス小説、春夏秋冬4つの短編たちです。華やかさやカッコよさの裏で、みんな泥くさく汗まみれで人知れず泣いています。葛藤して悩んで、それでも今日も出勤します。
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『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬氏。少女が戦うのは敵国か、この世の中か。

これがデビュー作だとは信じられないほどの重みを抱えた作品です。舞台は第二次世界大戦のさなかにあるソビエト。最前線で戦うソビエトの女性狙撃兵たちの物語です。ここに勝者がいないことは明らかなのですが、人はなぜ人を殺めるのか、そして殺戮と同時になぜ女性への蹂躙があるのか、幾つかの命題が存在するお話です。
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