本が読みたくなる– category –
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『ストーカーとの七〇〇日戦争』内澤旬子氏。被害者が声をあげることの意義。
内澤旬子さんの著作は常に強い意志を持って経験したことを書いておられますが、今回は怖い。タイトル通り闘いの記録です。事件発生から警察や検事、弁護士とのやり取り... -
『まっとうな人生』絲山秋子氏。大人になっても戸惑ってる。
2022年5月19日、絲山秋子さんの新刊が出ました。『まっとうな人生』。これは2005年に出版された『逃亡くそたわけ』という青春ロードムービーのの後日談といえます。『逃... -
掃除婦のための手引き書 ールシア・ベルリン作品集 繊細で残酷な”わたし”のお話。
ルシア・ベルリンは1936年生まれ、昭和11年にあたります。父の転勤で子どもの頃は南米中米などで暮らしていたアメリカ人だそうです。表紙の女性がルシア氏。多感な時期... -
『春のこわいもの』川上未映子氏。暖かな日差しとゾクッとする冷気と。
パンデミックが始まろうとする春のこと、覚えていますか。当たり前のことがことごとくできなくなる戸惑い。ぶつけられない怒り。世界が変質していくような毎日でした。... -
『我は、おばさん』岡田 育 氏。堂々と名乗りを上げよ。
はい、強烈なタイトルです。著者の岡田育氏は1980年生まれ。むむ…。育さんの知識は広大です。コミックに映画に小説にと、幅広い題材から「おばさん」を抽出して「おばさ... -
『砂嵐に星屑』一穂ミチ氏。自分だけの星を見つけること。
一穂ミチさんには深〜い固定ファンがついているのは何故かしら?とこのお話を読んでみました。大阪の民放テレビ局で働く人たちのオムニバス小説、春夏秋冬4つの短編たち... -
『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬氏。少女が戦うのは敵国か、この世の中か。
第11回アガサ・クリスティー賞大賞を受賞し、第166回直木賞候補、2022年本屋大賞候補作にもなっているこの作品。これがデビュー作だとは信じられないほどの重みを抱えた... -
『タラント』角田光代氏。思いを受け継いで自分の”使命”を生きること。
「タラント」とは「使命」という意味だそうです。角田光代さんが描くこの”使命”とはなんなのか。主人公みのりは回り道と停滞を繰り返します。祖父の人生が明らかになる... -
『遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ』スズキナオ氏。日常を楽しむのにお金はかからないんだ。
「自分の近くにあるものにじっくりと目を向ければ見出せる楽しみがある。」 と著者スズキナオさん。『遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ』のまえがきの... -
『ニューヨーク製菓店』キム・ヨンス (金衍洙) 心がじわりと溶かされる。
書店に韓国の作家さんの物語やエッセイがあふれています。ここ数年ほんとうに増えましたね。どれから読むべきか迷っている方にお勧めのショートストーリーがこの『ニュ... -
『ばにらさま』山本文緒さんの最後の新作。
2021年10月にご逝去された山本文緒さん。その直前に出版されていたのが『ばにらさま』です。バニラアイスのようにひんやりとした女の子とその彼氏とのお話は、なんだか... -
『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』ミア・カンキマキさんと枕草子を知る本。
『セイ、到着間近。京都へ、あなたの平安京へ降り立つ準備はできつつある』。ミアさんはフィンランドの編集者。生け花の師範でもある、バリバリの日本オタクなのです。...